Proxmox VE 4.4 を導入してみた:ストレージとバックアップ

シリーズ目次

前回の続きです。Proxmox VE(以下PVE)はサーバー本体のディスクをシステム以外に、OSなどが入ったISOイメージや仮想マシンのディスクイメージの置き場所(ストレージ)として利用します。

サーバー側にディスクをたくさん積んで置ける場合は良いのですが、業務で利用される場合は別にストレージサーバーがあると思います。

私もNASを利用してファイル共有を行える環境がありますが、samba以外にもストレージサーバーとして扱えるNFS, iSCSIに対応しているサーバーがある場合は、そちらをPVEのストレージとして扱えます。今回は扱いやすいNFSサーバーをPVEに登録して、ISOイメージの保存, 仮想マシンディスクの保管場所にします。

また、ストレージに関連してProxmox VEのバックアップ機能についても触れてみます。(こっちのほうがメインっぽい)

ストレージとして扱える種類

扱えるストレージは公式のドキュメントに記載されています。

Proxmox VE Administration Guide

ストレージタイプと言う概念もあります。ファイルタイプは名の通りファイルベースで管理するストレージ, ブロックタイプはブロックデバイスとして扱う形です。パーティションといったほうが身近だと思います。

ファイルレベルストレージ(File Level Storage) は比較的わかりやすいし扱いやすいと思います。ファイルベースでのバックアップシステムと合わせたり、比較的安価なNASでもNFSが扱える場合があるので導入が楽と思います。

ブロックレベルストレージ(Block Level Storage) は対応しているストレージによって様々な機能があるので、その機能がメリットとなる場合は(例えばスナップショット機能とかですね。ZFSやiSCSI LNUなど)利用すると良さそうです。

今回の例ではわかりやすいファイルレベルストレージを扱いました。

NFSサーバーをストレージとして登録する

登録はWEB UIから行えます。メイン画面の データセンター を選択して、右側のデータセンターメニューからストレージを選択し追加を行います。今回はNFSを選択しています。

IDは適当な名称をつけます。サーバーはNFSサーバーのアドレスを入力します。そうすると自動的にディレクトリの一覧が現れます。これはNFSサーバー側で共有ディレクトリの設定を行っていると自動的に扱えるディレクトリを探してくれます。

(見つからない場合は接続するPVEサーバーのアドレスをNFS側で許可できるように権限の設定を行う必要があります。この辺は扱う製品のドキュメントを参考にしていただければと思います)

内容 というオプションではストレージの役割を設定します。役割とは冒頭に軽く書きましたが、仮想マシンのディスクイメージを置く場所, ISOイメージを置く場所, バックアップしたファイルを置く場所と分けることができます。

それぞれ複数の役割を当てることもできます。NFSの共有ディレクトリごとに一つの役割を設定しても良いと思います。

次の例ではディスクイメージとVZDump ファイルを設定しています。VZDump ファイルは仮想マシンをバックアップされたファイルのことです。

PVEは内部でOpenVZ(コンテナベースの仮想マシンを管理する環境)を利用していて、バックアップユーティリティとしてVZDumpというコマンドがあるそうです。PVEでも利用されていて、その名称がそのまま利用されています。

バックアップ

Proxmox VEは標準で仮想マシンのバックアップ機能があります。先程も紹介しましたがOpenVZのVZDumpコマンドが利用されています。バックアップの種類もあり、公式ドキュメントでは ストップ, サスペンド, スナップショットの三種類が利用可能です。

Proxmox VE Administration Guide

  • 仮想マシンをシャットダウンしている場合の ストップモード
  • 一時的にスリープ/サスペンド処理をしてメモリも保持する サスペンドモード
  • 起動中の仮想マシンのディスク状況やメモリを保持する スナップショットモード

稼働中のマシンのバックアップを稼働させたままバックアップしたい場合はスナップショットが最良の選択肢とされています。

ストップやサスペンドモードでのバックアップは仮想マシンを停止するためダウンタイムが発生する方法です。なので定期的なメンテナンスの時期に取得すると良いと思います。

またサスペンドモードは、ドキュメントに記載されていますがストップモードと同じくダウンタイムが発生する割にはスナップショットのようにサスペンド時のメモリを保持する状態なので、特別な事情がない限りはスナップショットモードのほうが利便性が良いようです。

一つの仮想マシンをバックアップ

各仮想マシンのバックアップを取りたい場合は、各仮想マシンのメニューからバックアップを選びます。

モードを選択しバックアップ先のストレージを選択します。

バックアップの際は、バックアップ先のストレージの選択, 圧縮手法の選択が行えます。ストレージは先程解説した、ストレージの登録の際に内容オプションのVZDumpファイルを選択したストレージが表示されます。

圧縮手法はLZOとGZIPです。それぞれの用途で良いと思いますが、さほど大きいスナップショットでもなければGZIPでいいと思います。

作成中はメイン画面下部にあるログから状況を確認できます。スナップショットならメモリの使用量にもよりますが、ほぼ瞬時に完了するはずです。

スケジュールバックアップ

スケジュールバックアップは、各仮想マシン側ではなく、PVEの管理されている データセンター メニュー行うバックアップ機能です。文字通りスケジュールを設定して行えます。

この際に、PVEの各ノード(PVEをインストールした複数のサーバーでクラスター構成を作成した場合に扱える)ごとに選ぶことができます。) 日時の設定以外は、各仮想マシンのバックアップとほぼ同じです。

スケジュールタスクが行われたかは 下部の タスク ログより確認できます。

バックアップではないスナップショット

バックアップではないスナップショットのメニューもあります。こちらは一時的に作成したいときに便利に扱えます。作成とロールバックは各仮想マシンメニューの SnapShots メニュー内で全て行えます。

まとめと次回予告

今回は、Proxmox VEのストレージの概念と関係しているバックアップについて扱いました。バックアップは日々大事な運用の一つなのでちゃんと動かせるようになっておきたいですね。

ストレージはNASを所有していると安易に追加が可能なので、有効活用の一つにもなりますね。NFSはわかりやすいので最初はおすすめだと思います。

次回は、Proxmox VEの特徴の一つでもあるクラスター構成を作ってみます。複数の仮想マシンノード(サーバー)を接続させて、ライブマイグレーションを行える環境やHA構成にも対応します。(4.4からだと分散ストレージ構成も作れるそうです, あとHA構成は実はよく知らないです)

クラスター構成自体はそれほど難しくなく作成できますが、まだ運用に慣れていなくてもう少し慣れた所で記事にしてみます。

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