今日はオンラインイベントやハイブリッドイベント配信サポートの技術的なまとめをしてみようと思います。最近お手伝いしたイベントの配信サポートをベースにしてまとめてみます。今までの棚卸的な意味合いもあります。
元々Pythonの勉強会でも急遽WEB会議で開催したことや、PyCon mini Shizuokaでオンライン配信を経験したことがあります。コロナ禍でオンラインイベントやハイブリッドイベントで配信サポートさせてもらっています。
使ってみた技術的な手法やサポート時にどうしているかをまとめてみました。かなり趣味的な要素が強いので、参考になるかわかりませんが、YouTube配信でもよく使われる方法のようなので、何かの参考になればと思います。
使う機材
どんな機材を使うかはそのときどきで違いますが、基本的には以下の機材を使っています。
- 配信+画面作り用のPC
- 会場などの撮影用のビデオカメラ+HDMIキャプチャ
- オーディオインターフェイス + 手持ちマイク
- 最近はワイヤレスマイクも使っています
ATEM Miniのようなスイッチャーはあえて使わないようにしています。というのも、多数のカメラや映像ソースを1つのソースとして取り込むことがしやすいのがATEM Miniで、その使い方なら便利ですが、機材が増える問題もあるのでOBS単体でやるようにしています。
しかしPC+OBSの組み合わせでは別の限界もあり、映像や音声をキャプチャするデバイスはたくさん入れられないため、別の手法でカバーしています。(NDIについて後述します)
配信用のPCは配信のソース品質はフルHDを上限にしているので、数年前のマシンで問題ありません。4Kだとメモリや高速なマシンが必要です。最近だとIntel N100等の小型PCも性能的には十分使える可能性がありそうです。
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カメラ+HDMIキャプチャ
ビデオカメラはHDMI出力があるものを使っています。最近は4Kのビデオカメラも安くなってきているので、それを使うとより高画質な映像が撮れるかもしれませんが、4Kの映像を配信するとなるとPCのスペックが必要になるので注意が必要です。
キャプチャデバイスはElgato Cam Link 4Kを使っています。WEBカメラ代わりに買ったものでしたが、安定して使えるので大事な画面用です。それ以外は中華系キャプチャデバイスでも問題ありません。
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(中華系のキャプチャデバイスは4K@60HZのソースが入るものの、多くは1080p@30Hzなものが多いです。
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ZOOMなどの会議アプリ
ハイブリッド配信で使うときの会議サービスです。Zoomを使うことが多いですが、主催の方が契約されてることがほとんど。仮にこちらが用意する必要がある場合はGoogle Meetで十分です。
Zoomの良いところは、慣れている人が多いことと、クラウドレコーディング機能が良いです。後ほど配信のアーカイブを作るときにカメラやスライドを分けてくれるので動画ソースが多くて便利です。OBSやカメラだけの撮影では不足なことも多いです。Google Meetも利用するプランによっては録画できるのである程度カバーできます。
スイッチャーと画面づくり
画面作りまでOBSにしています。シーンによるスイッチングもできます。
OBSを使う理由としては、画面作りがやりやすい点です。実際に凝った画面を作るよりは、複数の方法を用意しつつ状況によって切り替えたり、その場で作り直すこともできるのがメリットですね。ノウハウもネットや動画で解説されていることも多いです。
NDIを使った画面作り
NDI(Network Device Interface)はネットワーク経由で映像や音声の取り込みができるインターフェイスで、対応したソフトがあれば一緒に混ぜられます。PCがあればNDI Toolsという無料アプリでPCの拡張性を活かして安価に多数のソースを入出力できます。スイッチハブで機材の拡張もできるので便利です。LANのみで接続できるので会場の設営も楽です。
情報源はこちら。NDI Toolsをまずは使ってみて、必要に応じて他の機器を使うと良いと思います。
- NDI Tools(Tricaster.jp)
- NDI (ネットワークデバイスインターフェイス) とは?|yoko
- Vol.01 NDIとは何か?無料のアプリケーション「NDI Tools」でNDIを体験[NDI world] - PRONEWS : 動画制作のあらゆる情報が集まるトータルガイド
またOBSのプラグインも有志による開発もされています。OBSを通して画面構成を作ることもしやすいです。
DistroAV/DistroAV: DistroAV (formerly OBS-NDI): NewTek NDI integration for OBS Studio
デメリットとしては、機器接続のLANはかなり帯域を使います。できれば別系統にしたほうが良いと思います。
最近参加したイベントのシステム図(抜粋)はこんな感じです。通常だとHDMIケーブルを多数使ったりすると思いますが、NDIだとLAN経由なのでだいぶシンプルです。ただし、ポイントポイントにPCが必要なので電源の取り方が問題になることもあるので注意が必要です。
オーディオ周り
オンライン配信の当初はオーディオインターフェイス+マイクでミックスすることもしていましたが、最近はワイヤレスマイクを使うことが多いです。有名メーカーの物はもちろん、中華系の物でも使いやすいものも出てきました。
(よく使っているもの。USB-Cで取り込めるし、イヤホンジャックもあるので、オーディオインターフェイス経由でも取り込める。)
Ulanzi ワイヤレスマイク ピンマイク スマホ外付けマイク 360°集音 無指向性オーディオ録音 ノイズキャンセリング 100M伝送距離 2.4GHz 瞬時接続 8時間連続収音 収納充電ケース付き 自動ペアリング APPとBluetooth不要 小型軽量 Vlog撮影 インタビュー 生放送等適用 TELEC認証取得 Type-Cに対応 | |
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(ちょっと後に出てきた製品。こちらのほうがレベルモニターがあるので音声がちゃんと飛んでいるか確認しやすい。)
Ulanzi U-Mic ワイヤレスマイク ピンマイク ラベリアマイク 200M伝送距離 2.4GHz 20時間バッテリー駆動 三つの音声入力モード ノイズキャンセリング 瞬時接続 自動ペアリング 収納充電ケース付き スマホ/カメラ/PC/タブレット/レコーダーなどに対応 web会議 Vlog撮影 インタビュー 生放送等適用 MFi認証取得 AM18 | |
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サポートをするときに気を付けること
配信サポートとして入るときには、以下のことを気をつけています。
- できる限り配信を止めないようにする: 参加者がその時点で脱落するので、トラブルがあってもトラブルがある状態と伝えつつ続けていく。スケジュールやシナリオ通りに進められるのが理想だけど柔軟に対応することも大事。
- 最低限の品質をカバーする: 音声が聞こえないのは最低限避ける。映像はオンライン参加者の環境によりますが、アーカイブを考えると配信での映像よりも保存することのほうが大事です。
- 録画が必要な場合は多重化を心がける
バックアップ多重化はどんなシステムでも大事です。音声も映像も、その時限りなのでできるだけバックアップは多重化がオススメです。カメラやマイクにも、本体に録画機能があるなら有効にする方が良いです。また、ビデオカメラでの録画時には一度メディアのフォーマットをするなど、事前に準備しておくと良いです。
回線事情はどうするか
配信する環境によって回線事情は変わります。良いときも悪いときも経験しましたが、
- 回線がなるべく良い環境であることを前提にしています
- 会場の回線が品質が良く利用できる場合は優先的に使う
- 会場で回線が用意出来ない場合は携帯キャリアの回線を使いますが多重化する仕組みを入れます。リンクアグリゲーションとして自前で用意しています。(OpenMPTCPRouterというOSSのツールを使っています)
- OpenMPTCProuterの参考記事:OpenMPTCProuterで複数インターネット回線を集約して接続帯域を増加する #RaspberryPi - Qiita
- OpenMPTCProuterの公式サイト:OpenMPTCProuter
まとめ
配信サポートの技術解説でした。イベント運営をしている中で趣味的に取り組み始めたものがここまで続いたのも、こういうシステムを作るのが好きなのかもしれません。
より高価な機材があればやりやすいこともあると思いますが、機材少なめで運用することもできるようになってきたので、またどこかのお手伝いをしつつ、理想形を追求していきたいと思います。
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ということで、本業の設計事務所とはまったく関係ないのですが、オンラインイベントやハイブリッドイベントの配信サポートをお手伝いすることもできます。お気軽にお問い合わせください。(SNSやこちらへコメントしてもらえたらと思います)